諜報戦争って副題はまったく見当違い。
っていうか、製作者サイドに失礼すぎる。
話は、アメリカ陸軍史上最大の捕虜収容所の解放作戦で史実である。
こんな副題を付けたのは、舞台がフィリピンで敵役が日本軍だったので日本の配給会社
が慮ってこういう副題を付けて内容を糊塗しようとしたんだと思う。
しかし、いずれにせよ評判になれば内容はわかってしまうじゃん。
ヒットするとは思わなかったのかしら。
歴史的な背景としては、太平洋戦争が勃発してすぐに日本軍は、当時アメリカ軍
の保護下にあったフィリピンを攻撃し、総司令官のマッカーサーをオーストラリア
に追い出す。
残ったアメリカ軍は、バターン半島に追い詰められ降伏する。
有名な、「バターン死の行進」という捕虜虐待事件があって捕虜たちはフィリピン
各地の捕虜収容所に収容される。
3年後アメリカ軍は、フィリピンに再上陸して日本軍を次々と駆逐していく。
そんな中で、マニラの日本軍司令部は米軍捕虜の後始末を各収容所に命じる。
ストーリーは3つのパートに分かれる。
1つは、攻撃するアメリカ陸軍の部隊の視点。
もうひとつは、収容所内のアメリカ軍捕虜の視点。
そして、3つ目は収容所内の指揮官を恋人に持つアメリカ人看護師のレジスタンス
闘士としての視点である。
特に、3つ目が興味深い。ここの部分はたぶんにイタリアのネオリアリズムを
念頭に置いた演出だと思う。
簡単な調査で銃殺される人々と密告。その緊迫感。
2つ目の視点は、救出されるぎりぎりのところまでの収容者たちの絶望感である。
こちらは、割と間延びした演出だけど、それにより逆に緊迫感を増す結果となり
成功している。
1つ目の視点は軍隊内の作戦立案とその実行で、さまざまな要素のドラマはあるけれど
全体としては、アメリカ映画らしい格好良い演出。
ともかく、さまざまな要素が絡み合って戦争映画としては及第だと思う。
配給会社が危惧したであろう、日本軍は徹底的に悪役である。それと戦車やトラックなど
物量を持っているように描かれているが、この時期のフィリピンにおける日本軍は
青息吐息で、これはたぶん演出だと思う。
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